Q&A

2026.2.2

【Q&A】024 院長先生、遺言を作ろう

診療所の院長を務めていますが、高齢になりました。どのような内容の遺言を作成したらよいですか。

 

 

 

将来を見据えたご準備は非常に大切です。個人開業医の場合、診療所の資産(医療機器や不動産)と個人の財産が一体であるため、整理には細心の注意が必要です。

 

1.遺言に盛り込むべき具体的な内容

 

◆事業資産の指定

診療所の土地・建物、医療機器、薬品在庫を誰に引き継ぐか、あるいは売却・清算するかを明記します。後継者がいらっしゃる場合には後継者に事業の基礎となる財産を承継させることとして親族間の争いを回避して診療所の継続に支障を生じさせないようにします。なお、後継者が相続人でない場合でも「遺贈」により承継させることが可能です。

 

◆遺言執行者の指定

閉院手続き、従業員への退職金支払い、名義変更を実務的に担う「遺言執行者」に弁護士などの専門家を指定しておくことで、親族間の負担と紛争を減らせます。

個人開業医の先生の場合、法律上は「診療所としての経営者」と「一人の個人」が区別されません。そのため、相続の対象となる財産には、診療所の財産だけでなく、私生活上の個人の財産も含まれます。具体的には預貯金や有価証券、不動産、生命保険、自家用車、貴金属、ゴルフ会員権、リゾート会員権などです。

 

2.注意点:遺留分と税務

 

◆遺留分への配慮

遺言の内容が相続人の最低限の取り分(遺留分)を侵害すると、親族間で紛争が生じるリスクがあります。遺留分に配慮した遺言を作成することでこのリスクを軽減することができます。

 

◆相続税対策

医療機器や土地の評価額は高額になりやすいため、納税資金の確保も含めた対策が必要です。

 

3.遺言書の方式   

 

◆公正証書遺言

公証役場で公証人により作成し原本が保管されるため、偽造や紛失の恐れがなく、最も確実で推奨される方式です。

 

◆自筆証書遺言

自身で書く方法ですが、形式不備で無効になったり、また遺言内容が不明確で将来紛争が生じるリスクがあります。

 

遺言の作成にあたっては、現在の財産の整理や配分、遺留分の計算、遺言の方式の選択など法律、税務会計の知識が必要になります。不十分な方式、内容の遺言を作成すると、将来相続人間での紛争を引き起こしてしまい、遺言を作成した目的が達成されないこともありえます。

 

遺言の作成に関して関心がおありの場合は弁護士法人海星事務所にご相談ください。